日本を出国する際に課される国税、国際観光旅客税(出国税)が、今後大きくその“金額”を引き上げられる可能性が浮上しています。現在の1 000円(1回あたり)から、数千円規模への改定案が検討されており、観光地の「オーバーツーリズム」への対応策として、税制面からのアプローチが注目されています。
出国税とは?2019年から導入された観光財源
「国際観光旅客税(出国税)」は、2019年1月7日に導入された国税で、
日本を出国するすべての旅客(2歳以上、国籍不問)に対して1回につき1,000円を課すものです。
この税は、
- 出入国手続きの効率化
- 多言語対応の観光案内整備
- 地方観光地へのアクセス改善
といった観光振興施策の財源として活用されています。
コロナ禍で一時税収は減少しましたが、訪日外国人観光客数が急回復している現在、再び注目を集めています。
政府・与党が「3,000円前後」への引き上げを検討中
報道(FNNプライムオンライン、沖縄タイムスなど)によると、
与党内の観光政策プロジェクトチームが「出国税の引き上げ」を盛り込んだ提言をまとめ、年末の税制改正に向けて議論が進められています。
検討されているのは、
- 現在の1,000円から3,000円前後への増額案
- 追加税収を観光公害対策や地方観光インフラ整備に充てる案
などで、政府は今後、財務省や国土交通省を中心に具体的な使途・規模を詰める見通しです。
背景:オーバーツーリズムと地方の観光インフラ不足
訪日外国人旅行者数は、2024年に過去最高の3,300万人を突破(日本政府観光局推計)。
京都・鎌倉・富士山周辺などでは、観光客の急増による渋滞、騒音、マナー問題が深刻化しています。
一方で、地方の観光地はインフラ整備や人手不足の課題を抱えており、
政府は「観光の量から質へ」「持続可能な観光への転換」を掲げています。
そのため、観光収益の一部を地域へ還元し、持続可能な観光整備に充てる狙いがあるとみられます。

懸念も:「旅行離れ」や「逆進性」の指摘
出国税の引き上げに対しては、国民や観光業界から懸念の声も出ています。
- 「家族旅行など一般層にとって負担が大きくなる」
- 「短期出張や格安航空利用者には実質的な値上げ」
- 「観光立国としての競争力を削ぐ可能性がある」
といった意見があり、特に**所得の低い層ほど税負担が重くなる“逆進性”**を問題視する専門家もいます。
税率だけでなく、税の使い道の透明化や地域への還元の見える化が求められそうです。
今後の見通し
現段階では「検討中」の段階であり、具体的な引き上げ時期や金額は未定です。
与党税制調査会が年末にまとめる「税制改正大綱」に盛り込まれるかどうかが注目されています。
もし3,000円規模に引き上げられれば、年間で数百億円単位の新たな税収が見込まれる一方、
航空会社の発券システムや旅行会社の価格設定にも影響が出る可能性があります。
まとめ
出国税の引き上げは、「観光立国ニッポン」の次のステージを象徴する議論でもあります。
単なる増税ではなく、観光による地域負担と利益のバランスをどう取るかが問われています。
政府は観光公害対策・地方振興の名のもとに議論を進めていますが、
その行方は、私たちの旅行・出張・ビジネスの形にも少なからず影響を与えることになりそうです。


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