大阪 中国系法人500社超、その実態と制度改正の光と影

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2025年秋、日本で「経営・管理ビザ」の要件が大幅に厳格化された。その背景には、主に外国人、特に中国系の起業家を対象に、このビザを手に入れるためだけに“名義だけの会社(ペーパー企業)”を大量に設立する「移民ビジネス」が顕在化したという事情がある。西成区などを中心に、実態のない法人が“起業”という形で乱立し、社会・行政の問題になっている。

大阪のある築古ビルでは、わずか数十戸にもかかわらず、100社以上の法人が登記されていた例もある。このような実態が、制度改正の引き金となった。

この記事では、この「ビザ × ペーパー会社」がなぜ起きたのか、その構造、制度改正の内容、そして今後の懸念を整理する。

経営・管理ビザとは、本来どういうものか

  • 「経営・管理ビザ」は、外国人が日本で事業経営や管理に従事するための在留資格。2015年に導入された。
  • 従来の要件は、「資本金 500万円以上 または 常勤職員 2名以上」「事業所の確保」など。比較的ハードルが低く、小規模な起業でも取得しやすかった。
  • そのため、起業を目指す留学生や外国人起業家には敷居が低く、チャンスがあった。

しかし、これが一方で「名義だけの会社」の温床になってしまうという事態が生まれる。

なぜ“ペーパー会社”が乱立したのか

・大阪で急増した中国系法人の登記

  • 報道によれば、大阪市内の築古物件5棟に、中国系法人が 合計677社 登記されていた。
  • ある4階建ビルでは、40部屋ほどに対し100社超の法人が登録されており、メールボックスには多くの会社名が並ぶ一方で、実際に人や事業の気配はほとんどなかった。
  • 多くは「不動産業」「旅行業」「民泊経営」など、いかにも起業らしい業種だが、実態としては「民泊(短期宿泊)」や「登記だけ」の法人が多かったとされる。

・移住や生活手段としての“ビザ取得ビジネス”

  • 実体のない会社設立、民泊運営――これらは日本社会の医療、教育、社会保障といった制度を目的に、いわゆる“移住ツール”として機能してきたという指摘がある。
  • 特に、ビザ取得を斡旋するブローカーや代行業者が、中国国内で「日本移住のチャンス」「今が申請のタイミング」といった宣伝を行い、ビザ目的の法人設立をあおるケースもあった。
  • こうした動きにより、実際の事業や雇用を伴わない“名義だけの会社=ペーパー会社”が爆発的に増えた。

制度改正の意味と限界 ― 本当に“ビザ乱用”は止まるか?

制度改正の意義

  • 資本金や雇用、現地オフィスなど、実態のある経営体制を求めることで、名義だけのペーパー会社を抑制。これまでのような“ビザを目的とした法人設立 → 居住”という乱用を減らすことが期待されている。
  • また、申請者に対する日本語能力や経営能力の要件追加は、言語・文化・経営の理解が伴う“真の起業家”に門戸を絞る狙いとも言える。

ただし限界も

  • “資本金3,000万円”や“常勤職員確保”のハードルが高いため、小規模スタートアップやフリーランス的なビジネスを考えていた人にとっては、起業への敷居が非常に高くなる。結果として、本来の“多様な起業家受け入れ”の機会を奪う懸念がある。
  • さらに、“既存の法人・ビザ所持者”に対する扱いや更新条件の解釈によっては、過去に設立された法人の実態があやふやなまま在留が継続される可能性もある。
  • そもそも“社会保障・教育・医療目的の移住”という動機がある場合、ビザ制度以外のルート整備や移民政策の議論抜きに、この問題は根本解決しにくい。

結論

「経営・管理ビザ」は、本来、日本における外国人起業家の参入を通じて経済活性化を促すものだった。しかし、実態のない会社とビザ取得を目的とした“ビザ移住ビジネス”が広がることで、制度の趣旨が歪められた。今回の制度改正は、“表面上の防止策”としては有効かもしれない。

ただし、それだけでは根本解決にはならない。ビザを使った移住願望、社会保障・教育を目的とした移住。それを可能にする制度の在り方、その枠組み、そして移民政策や社会統合の議論が必要だ。

日本は、これから「誰を受け入れる国か」を、改めて問い直す必要があるのではないか。

参考文献

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